タンニン酸
黒サビを発生させるために赤サビに塗るのがタンニン酸です。
タンニン酸:
赤サビを黒サビに変換して、鉄の腐食を防ぐ塗料。
赤錆び(Fe2O3)は、次々と酸素と結びついて鉄の腐食が促進する。
タンニン酸は赤サビを黒サビ(Fe3O4)に変換する。
黒サビ:南部鉄器や砂鉄に代表される。表面が大変緻密で固く、内部を保護するため腐食が進まない。
別称は柿渋。
大阪芸術大学 アートサイエンス学科 の衝撃
妹島さんの大阪芸術大学アートサイエンス学科が新建築2019年1月号に掲載されてました。その他雑誌にも登場しています。
妹島さんの建築ってやはりきれいで、今回は形態の力強さが際立っていました。特筆すべきは、形態の美しさを邪魔しがちな様々な建築の要素が存在していない点です。
呑気に設計していると、床・天井に仕上げ材が登場し、天井内には空調機やスピーカーなどがでてくる。外部にもデッキやらがでてきて、スラブ厚+100mmくらいで幕板が回ってきたりと、とにかくいろんなものがでてきます。
ところが、それらの要素の収まりの工夫ではなく、そもそも要素が存在していない。
収まりの工夫とは別の次元で、徹底的に排することになのだろうと考えられます。
では、どのようなものを使っているのかを確認してみます。
1)内部床:コンクリートt150mm 表面硬化剤(シーゲイト:シールハード)
妹島さんの作品ではコンクリートの床を多用しています。光沢のある風景がちょっと映り込む床です。
このシーゲイト社の表面硬化剤は、金沢21世紀美術館も日立市庁舎なども使用しています。
メンテナンス性や耐久性があり、駐車場や倉庫にも使われています。
2)外部床:ウレタンFRP複合防水(双和化学産業:ポリルーフ)
外部の床であっても内部と厚みが変わらないような仕上げとし、なおかつ小口でスラブ厚以上の仕上げが見えにくくなるようにしたい、という趣旨に対して、最善の策と思える。
大まかに、ウレタン防水+FRP+骨材+仕上げ塗装
となっている。
3)空調・照明
ガラス側の床にペリメーター床吹き出しのSUSガラリがある。これは定石のやりかたで、金沢でもどこでも妹島さんの作品では見られます。
ダウンライトは打設時にすでに配線から埋め込み位置まですでに決定していないとなりたたない。
スラブ小口にスポットライトがいくつかついています。こちらもスラブ内配線を済ませています。
これらの点を踏まえて、そのうち見に行きたい。
エマルションという言葉
塗料を見ていると「エマルション」という言葉をよく目にします。
やり過ごすこともできますが、「エマルション」という言葉を知っておこうと思います。
エマルション:emulsion = 乳化 です。
乳化とは、水と油のように相互に混ざり合わない液体の一方を微粒子状に分散させている状態です。
牛乳とかマヨネーズとかはエマルションの一種です。
では、エマルションペイントとは何なのか。
混ざりあわない物質が乳化状態で混ざっている塗料のこと、ということになります。
成分構成としては、
水分+顔料(色)+樹脂+添加物
です。これらが混ざり合わないので、乳化させています。
最終的には、この水分が蒸発して、硬くなります。
この水分が溶剤の場合もあります。
それが、水溶性エマルションペイントと溶剤系エマルションペイントの違いです。
値段を見れば簡単ですが、水溶性<溶剤系で、性能的にも溶剤系のほうが優れています。
ちなみに略称はEPです。
設計時の塗装仕様を書くときにふと思い出してみたり。
アルポリック。見分けがつかないくらいのクオリティ。
銀座の伊東屋には行ったことがあるでしょうか。
目抜き通りの文具店です。
その外壁はSUSのカットパネル。
綺麗ですね。
この写真、
右が目抜き通りの正面入り口で、左が裏口です。
さて、何が違うかというと右はSUSのカットパネル、左はアルポリックです。
これは相当注意深く見ないとわかりません。
違いはパネルの小口です。アルポリックの方は小口がグレーの樹脂になっていますが、
出隅にしか小口が表れないので、ほとんど気づきません。
おもて面は何が何でもSUS、裏口は減額でアルポリック、という感じで使い分けたのでしょう。
10年後にどちらが綺麗なままでいられるか勝負ですね。
G-IXの屋上でもカットパネル形式のアルポリックを見られます。
探してみると楽しいです。
ちなみに伊東屋がSUSにこだわるのは、建て替える前のビルの外壁も同様にSUSでした。
しかもステンレスビルという名称で呼ばれていたそうです。
当時の伊東屋の社長が基本設計をしたそうなので、会社としてステンレスに強いこだわりがあったのでしょう。
ちなみに当時のステンレスビルの窓枠は11階の野菜工場(屋内型水耕栽培施設)で見ることができます。
素晴らしい。
G-SIX:軒はアルポリックとアルミ押出材
銀座って素敵な街ですよね。
いろんな建築家が素敵な設計をしています。
その中でもG-SIXは谷口吉生が手がけた商業ビル(外観)ということで、
建築家としては興味があるところです。
今回の注目点は軒。
夜になると周囲の色鮮やかな光を鈍く反射するあの軒です。
綺麗ですよね。
構成としては、
ステンレスに見える面材はアルポリック。
アルポリックとは三菱樹脂マテリアルが販売するアルミ複合板です。
薄いアルミで樹脂をサンドイッチすることで、面の強度と平滑性を出し、安価にアルミを使うことができる、という素材です。
色は三菱のメーカー色なので、日塗工の番号では指定できません。
そのアルポリックがアルポリック/fr SCMというステンレスの複合板を作りました。
コストバランスと重量を考えてのことだと思います。
アルポリックの比重はアルミとほぼ一緒なので、
SUS=7.8 AL=2.7 ALP=2.5
でやっぱりSUSに比べると軽い。軒に使うのですから、軽い方が断然いいですよね。
それを収めるのがアルミの押出材。
この物件用の新規形材だと思います。G-SIXほどのm数があれば、新規形材を起こしてもへっちゃらです。
びっしりと敷地いっぱいにたつあの姿。ストックヤードもないであろうあの現場、大変だっただろうな。
と思いつつ、鹿島のHPを見ると、
1)地下水対策→CRM工法
2)工期短縮→逆打工法
3)ヤード→邪魔なところはあと施工
素晴らしい。